スキル・ワークショップ(WS)24:WS13|ファイブポイント浮上
WS24(ダイブスキル・ワークショップ(24スキル))は、一般ダイバー/ブランクダイバーが手順を体系的に復習できるように作った「1スキル=1記事」の手順書シリーズです。
この記事では、浮上前の確認を5つの順番に固定して、バディと同じタイミングで安全に浮上を開始する「ファイブポイント浮上」を、読めば再現できる粒度でまとめます(各団体の基準に共通する考え方に沿って整理)。

この記事でできるようになること
浮上のたびに「上がる前の確認」が抜けて、急浮上/船の下へ出る/バディと離れるといった事故パターンを減らせます。
合図→計器確認→排気準備→頭上確認→コントロールした浮上、を“型”で実行できるようになります。
手順(読めば再現できる手順書)
0)最初に固定するルール(ここが崩れると危険)
- まず止まる:泳ぎながら浮上開始しない。姿勢と浮力を安定させてから。
- バディは“掴める距離”:浮上開始〜水面まで、離れない。
- 浮上スピードはゆっくり:一般的な目安として、速すぎない速度(例:およそ9m/分の範囲)を意識し、コンピューター表示を優先する。
- 上を見て、空気を溜めない:頭上確認+BCDの空気は“早めに少しずつ”排気。
① Signal(合図)
- バディへ浮上サインを明確に出す。
- 返答(OK)を確認する。返ってこなければ浮上しない。
- チームダイブなら、ガイドや周囲の状況も確認して“足並み”を揃える。
② Time(計器)
- ダイブコンピューター確認:浮上してよい状態か(残留時間/浮上指示/安全停止の要否など)。
- 深度と浮上速度が確認できる画面になっているか(浮上中に見失わない)。
③ Elevate(排気の準備)
- 排気できる姿勢を作る:空気が溜まる場所が“一番高い位置”になる向きにする。
- インフレーターを高く(または該当ダンプが高くなる姿勢)にして、いつでも排気できる状態にする。
- 上がり始める前に少し排気:浮上開始で加速しやすい人は、最初に“少しだけ”抜いておくと安定しやすい。
④ Look up(頭上確認)
- 頭上を見て確認:ボート、ロープ、他ダイバーの泡・影、障害物がないか。
- 音も使う:船のエンジン音など、違和感があれば無理に上がらず停止して確認。
⑤ Ascent(浮上:コントロールして上がる)
- ゆっくり浮上開始:フィンは“軽く”で十分。浮力と排気が主役。
- BCDは早めに小刻み排気:浅くなるほど空気が膨らむので、溜めて一気に抜かない。
- 浮上速度を確認し続ける:コンピューターの速度表示やアラートを優先する。
- バディ位置を維持:離れそうなら、いったん止まって整える(引っ張って上がらない)。
- 水面直前も頭上確認:最後にもう一度“上”。
- 水面に出たら即浮力確保:BCDへ給気して確実に浮く(これは浮上スキルのセット)。
うまくいかない時のリセット(最短で安全に戻す)
- スピードが速い:排気 → 減速 → いったん停止できる深度なら停止 → 立て直して再開
- 排気できない:姿勢を変えて“高い位置”を作る → 使う排気ルートを変える(インフレーター/ダンプ)
- バディとズレる:止まる → 距離を作り直す → 合図からやり直す
よくあるミス/原因
- 合図が曖昧:バディが気づかず、バラバラ浮上になる。
- 排気準備が遅い:浅場で急に浮力が増えて急浮上になりやすい。
- 頭上確認を省略:船やロープの下へ出るリスクが上がる。
- 浮上速度を見ていない:速くなっても気づけない。
- 水面で浮力確保が遅い:波や不意の状況で焦りやすい。
セルフ合格ライン(3点以内)
- 5点(Signal→Time→Elevate→Look up→Ascent)を順番どおりに実行できる。
- 浮上中、早めの小刻み排気でスピードをコントロールできる。
- 水面到達後、即BCD給気で浮力確保までできる。
安全メモ
ファイブポイント浮上は、浮上の“手順”というより、事故パターンを潰すチェックリストです。
焦ったら、止まって、合図からやり直す。これが一番安全で、一番早いです。