【ダイブマスターへの道 #05】2026年01月18日: 5日目|恩納村ボート2ダイブ|24スキルWS「浮力・潜降/浮上・緊急手順」現時点チェック
ダイブマスターへの道|BlueLeaf DMトレーニング記録
このシリーズを読めば、DM講習で「何を」「どんな順番で」「なぜ」行うかが分かります。
ブルーリーフのDMは、形だけでは終わらせません。現場で通用するプロの基準(デモ品質・安全・運営)を、積み上げの過程ごとに記録します。
今回は、恩納村にてボート2ダイブ。前回に続き、24スキルWSを「合否」ではなく“現場基準に近づくための棚卸し”として実施します。
目的はシンプルで、「できた/できない」を裁くことではなく、現場基準に届くために“どこを整えるか”を確定させること。
おはようございます。
沖縄・恩納村ダイビングショップ「ブルーリーフ」の横田です。

今日の位置づけ(“テスト”ではなく「現場で崩れない型」を作る日)
今回扱うのは、いずれもOW講習で学ぶ基本動作が土台です。
ただしDMでは、そこで終わりません。求めるのは「できる」ではなく、ゆっくり・正確に・分かりやすく・毎回同じ品質で再現できること。
現場では、波・うねり・流れ・視界・緊張など、条件が毎回変わります。
だからこそ、条件が変わっても崩れない“手順”が必要になります。
今日のメニュー(24スキルWS:今回はこの8つ)
候補生メモ:今回はコメントなし(練習の狙いを優先して実施)
- 水面での浮力チェック
- スノーケル↔レギュレーター交換
- ファイブ・ポイント潜降(浮力コントロール/着底なし)
- エア切れ練習と予備の空気源の使用(停止位置)
- 予備の空気源での浮上(共有浮上)
- オーラルでBCDに給気→60秒ホバリング
- フリーフロー・レギュレーターからの呼吸
- ファイブ・ポイント浮上

1)水面での浮力チェック:水面で“整う”と全部が安定する
水面での浮力チェックは、派手さはありませんが、現場では最重要クラスです。
水面で落ち着けないと、呼吸も手順も乱れます。逆に、水面で整っていれば、潜降も緊急手順も精度が上がります。
ここで確認したいのは、「沈む/浮く」そのものではなく、落ち着いた状態を自分で作れるか。
DM目線では、手順を毎回同じ品質で再現できることが目的になります。
浮力チェックの具体的な手順(足がつかない深さの水面で実施)
- BCDを完全に排気する(レギュレーターをくわえた状態で、空気をしっかり抜き切る)
- 垂直で静止する(手足を動かさず、リラックスして垂直姿勢をキープ)
- 息を軽く止めて確認する(※水面でのみ。普通に吸って一瞬だけ止め、浮き具合を見る)
- 浮き具合の判定
- 適正:水面が目の高さ(マスク中央あたり)にくる
- 重すぎ:そのまま沈む → ウエイトを減らす方向
- 軽すぎ:頭が水面より高く出すぎる → ウエイトを増やす方向
- 息を吐いたときに、ゆっくり沈み始めれば完了(急に落ちない)
なぜ重要なのか
- 安全な浮上(安全停止の安定):軽すぎると、後半タンクが軽くなった時に安全停止が維持しづらくなる
- 疲労の軽減とエアの節約:重すぎると余計な空気が必要になり、抵抗が増えて疲れやすくなる
- 環境保護:浮力が安定すると、着底や接触のリスクが下がり、サンゴなどを傷つけにくくなる
2)スノーケル↔レギュレーター交換:溺れないための「手順固定」
ボート待機や水面移動では、スノーケルを使う場面があります。
ここで大事なのは、交換が速いことではなく、毎回同じ手順で落ち着いて切り替えられること。プロは常に「息ができる状態」を確保し続けます。
手順(基本の型:水面で実施)
- まずプラス浮力を確保(BCDに空気を入れ、水面で落ち着ける状態を作る)
- レギュで普通に1呼吸してから切り替える(息が整った状態で開始)
- レギュを外す(マウスピースを下向きにして保持)
- スノーケルをくわえる → クリア(確実に水を抜く)
- 慎重に吸って呼吸が安定したら水面移動へ。不安があれば即レギュへ戻す
今回ここで見たポイント(DMの“現場基準”)
- 息が止まらない(呼吸の確保が最優先になっているか)
- 手順が飛ばない(緊張しても順番どおりに出るか)
- クリアが雑にならない(焦ると吸い込みにつながる)
- 水面で余裕が作れている(水面で整うほど、その後の精度が上がる)
なぜ重要なのか(溺れないため)
水面で起きやすいトラブルの一つが、誤って水を吸い込む(誤飲・誤嚥)ことです。
このスキルは「呼吸が乱れる瞬間」を作らないための手順で、水面で安全に呼吸を確保したまま待機できるようになります。
ボート待機や水面移動は、波やうねりで顔に水がかかりやすく、焦ると一気に呼吸が崩れます。
だからこそ、交換手順を固定しておくことで、波が高い状況でも慌てずに呼吸を保てるようになり、その後の水中でも落ち着いて行動につなげられます。
3)ファイブ・ポイント潜降:潜る前に“安全手順”を揃える
ファイブ・ポイント潜降は、潜降を「ただ沈む動作」にしないための安全手順です。
合図・周囲確認・呼吸源・計器確認・排気〜潜降といった要素を、順番どおりに揃えてから潜る。これができると、潜降の精度が上がるだけでなく、チーム全体の安全マージンが増えます。
手順(5点潜降の流れ)
- 合図 → 周囲・位置の確認 → 呼吸源の確認 → 計器確認 → 排気〜潜降(耳抜きは早めに)
今回ここでの確認ポイント(5点を順序よく行えるか)
ここでの確認はシンプルに、5点潜降を、毎回同じ順番で落ち着いて実行できるかです。
- 合図→同意確認までセットでできるか
- 周囲確認で“基準”を揃えてから入れるか
- 呼吸源の確認が抜けず、レギュで呼吸できる状態で入れるか
- 計器確認を省略せず、開始の起点を揃えられるか
- 排気〜潜降の移行が雑にならず、落ち着いて入れるか
※「着底なし」や潜降速度の安定は、この5点が順序どおり揃った結果としてついてくる——という位置づけで見ています。
なぜ重要なのか
潜降は、耳抜きの遅れ、呼吸の乱れ、バディの分断などが起きやすい区間です。
逆に言えば、潜る前に手順が揃っていれば、以降の中性浮力やスキルの精度も安定しやすくなります。
4)エア切れ練習と予備の空気源の使用(停止位置):止まったまま“慌てない型”を作る
エア切れは起きてほしくない。だからこそ、起きた想定で安全に成立する流れを作っておきます。
ここで確認するのは、ドラマチックな演技ではありません。停止位置で、手順が順番どおりに出て、呼吸が安定するかです。
手順(停止位置で実施:一連動作を崩さない)
- エア切れの合図
- 予備の空気源の提供
- 受け取り→パージ→呼吸確保
- 保持(コンタクト)を作る
- OKサインで安定確認
※この項目は「停止位置」まで。次の共有浮上へつなげます。
今回ここでの確認ポイント(停止位置で“成立”しているか)
- 順序が飛ばない(合図→提供→受け取り→パージ→呼吸→保持→OK)
- 呼吸が安定するまで“止まれる”(焦って動き出さない)
- 距離感と保持が適切(離れない・絡まない・相手を引っ張らない)
- コミュニケーションが成立(OKの確認ができる)
なぜ重要なのか
現場で危ないのは「エア切れ」そのものより、呼吸が乱れてパニックに近づく瞬間です。
停止位置で呼吸を回復させ、相手とつながり、OKを確認してから次の行動へ移れるようにしておく。これが、次の「共有浮上」を安全に成立させる前提になります。

5)予備の空気源での浮上(共有浮上):浮上は“早さ”ではなく“制御”
共有浮上で問われるのは、根性ではありません。
落ち着いて、確実に、制御された浮上を手順どおりに成立させること。
手順(共有浮上:流れを崩さない)
- 呼吸が安定していることを確認(OKを出せる状態)
- 保持(コンタクト)を維持
- 浮上の合図→相手の同意(OK)を確認
- 浮上姿勢を整える(周囲・頭上確認、インフレーター位置の意識)
- 制御された速度で浮上(呼吸は止めない。浮力は“急に変えない”)
- 水面到達後、まずプラス浮力を確保(BCDへ給気、状況によりウエイト判断)
- 水面でOK確認→安全な場所へ移動/ボートへ合図(最後まで“チーム”で)
今回ここでの確認ポイント(“制御”できているか)
- 合図〜同意確認ができる(勝手に動かない)
- 保持が崩れない(離れる/引っ張る/絡まるを起こさない)
- 浮上速度が乱れない(焦って速くならない。一定で上がれる)
- 浮力操作が丁寧(急な給排気で暴れない)
- 水面でプラス浮力が取れる(浮上後に“沈まない状態”を即作れる)
なぜ重要なのか
緊急手順で危ないのは、空気源の確保そのものより、浮上中に慌てて制御を失うことです。
だからこそ共有浮上は、「速く上がる」ではなく、合図・保持・呼吸・速度・浮力・水面の安全確保を順番どおりに成立させる練習になります。
6)オーラルでBCDに給気→60秒ホバリング:浮力を“言い訳できない形”で見える化
オーラル給気でのホバリングは、誤魔化しが効きません。
インフレーターのボタン操作に頼らず、呼吸・姿勢・最小限の給排気で中性を作るので、浮力の癖がそのまま出ます。
手順(オーラル給気→中性→60秒ホバリング)
- いったん中性付近で停止(底・壁から距離をとる)
- 姿勢を安定(体は水平寄り、手足は“止める”)
- オーラル給気で微量の空気を入れる(少量ずつ刻む)
※器材によりオーラル給気の構造・操作は異なるため、使っている器材の型で手順を固定する - レギュに戻してクリア→呼吸を整える(焦らない)
- 呼吸で微調整しながら中性へ(まず“止まれる深度”を作る)
- 60秒ホバリング(上下動を最小にし、姿勢を崩さず維持)
今回ここでの確認ポイント(60秒を“安定して”成立させる)
- オーラル給気が“少量で刻める”(入れ過ぎ→上下動になっていないか)
- レギュの切り替えで崩れない(姿勢・深度が乱れない)
- 呼吸で調整できている(フィンや手で無理に止めない)
- 60秒の間、深度と姿勢が大崩れしない(再現性)
今回の現時点チェック
今回のスキルチェックで一番の課題は、オーラル給気でした。うまくいかない場面が出たため、いったんリトライ(中断)としています。
ただ、こうして一つひとつ確認していくことで、得意・不得意がはっきりします。課題が言語化できれば、次回はそこを狙って整えられるので、確実に前へ進めます。
なぜ重要なのか
BCDは、水面ではプラス浮力、水中では中性浮力を作るための基礎器材です。
そして60秒ホバーは、派手な技ではなく、「浮力の基準」を体に刻む工程。ここが整うと、緊急系スキルの安定度も一段上がります。

7)フリーフロー・レギュレーターからの呼吸:緊急時でも「呼吸を切らず」に次へつなぐ
フリーフロー(レギュが連続的にエアを噴き出す状態)は、起こり得ます。
ここで大事なのは“根性”ではなく、呼吸を確保しながら、次の安全行動(バディ連携/必要なら浮上)へ移れることです。
手順(フリーフロー呼吸→状況判断→次の行動)
- 異常を認識したら、まず落ち着いて呼吸を確保(泡の流れから“すくう”ように吸う)
- 口元を固めすぎない(噴き出すエアを受けながら呼吸を成立させる)
- バディへ合図して状況共有(「フリーフロー」を伝える)
- 次の空気源へ切り替え(可能ならオクト/共有で呼吸を安定させる)
- 浮上判断は早めに(ガス消費が速くなり得るため、安全優先で終了判断へ)
- 水面ではプラス浮力を確保して体勢を安定(状況により対応)
今回ここでの確認ポイント(“呼吸を切らず”に成立しているか)
- パニック動作が出ない(息を止めない/急に動かない)
- “すくって吸う”呼吸ができる(泡に負けずに呼吸が成立する)
- 頭の角度で“泡の逃げ道”を作れている(顔を傾けて泡を逃がす)
- バディへの合図→次の行動(切替 or 浮上判断)に移れる
なぜ重要なのか
緊急時に崩れやすいのは、手順そのものよりも呼吸の乱れです。
呼吸が確保できれば、バディ連携や制御された浮上へ“手順で”つなげられる。ここが狙いです。
8)ファイブ・ポイント浮上:最後まで“安全手順”で終える
浮上は「終わり」ではなく、最後のリスク区間です。
だからこそDMでは、浮上も手順として揃え、条件が変わっても同じ順序で安全に終えられることを求めます。
手順(5点浮上の流れ)
合図 → 計器確認 → 排気準備 → 上方確認/頭上保護 → 制御された浮上
水面到達後は、まずプラス浮力を確保して呼吸と体勢を安定させます。
今回ここでの確認ポイント(5点を順序よく行えるか)
- 合図→同意確認が取れているか(勝手に動かない)
- 計器確認が抜けないか(起点が揃う理解があるか)
- インフレーター位置が維持できるか(排気の準備が崩れないか)
- 上方確認と頭上保護ができるか(“見ていない浮上”にしない)
- 呼吸を止めず、速度を制御して上がれるか
なぜ重要なのか(DCS予防として、浮上スピードは最優先)
トラブルは、浮上中に「焦り」「速度超過」「確認不足」から起きやすくなります。
とくに減圧障害(DCS)を防ぐためにも、浮上スピードの管理は最優先です。必要に応じて安全停止も含め、“最後まで安全手順で終える”ことがDMの基礎になります。
今日のまとめ(現時点チェック=“伸び方”を確定する日)
今日の到達点は、「8スキルをやった」ではなく、次に何を狙って整えるかが明確になったことです。
DMで求められるのは“できる/できない”ではなく、ゆっくり・正確に・分かりやすく、毎回同じ品質で再現できること。その前提で、今回は現時点チェックとして整理しました。
今日、整理できたこと
- 8スキルを「合否」ではなく、現場基準に向けた“棚卸し”として整理できた
- できる/できないではなく、手順のどこで再現性が崩れるかが具体化した
- 次回以降の練習が「回数」ではなく、狙って整える練習に切り替わった
次に伸ばすための合言葉
「焦ったら、型に戻る」
次回予告 #06(6日目:スキルワークショップ)
2026年02月06日(金) 6日目
場所:恩納村|ボート2ダイブ
実施内容(24スキルWS|現時点チェック)
- レギュレーター・リカバリーとクリア
- 中性浮力で上下動(パワーインフレーター使用)
- コントロールされた緊急スイミング・アセント
- 水中でのマスクなし移動
- 水中でウエイト・システムの脱着
- 水中でスクーバキットの脱着
- 水面でスクーバキットの脱着
- 水面でウエイト・システムの脱着
- ヘッドファースト・サーフェスダイブ(口からスノーケルを外す)
- インフレーター・ホースの取り外し
- 緩んだシリンダー・バンドの締め直し
- エマージェンシー・ウエイト・ドロップの実施
DMコースに関するご相談
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横田メモ(プロの視点)
今回の注目は、緊急手順そのものよりも、「緊急時でも“手順”が崩れない準備」です。
落ち着いて、毎回同じ品質で、“型”として安全行動につなげられるか。
現時点チェックで“不安な場所”が見えたら、次はそこを狙って整える。それが一番の近道です。